凍死といったら、雪山で起きる事故だっていうイメージがありますよね。
あと、雪山というと寒いときは人肌で暖め合ったりとか想像します。
厚生労働省の「人口動態調査」によれば、2000年から2016年までの
国内の凍死者は計1万6000人
となり、熱中症のおよそ1.5倍に上っているそうです。
主に救急搬送される患者の多くは、屋内で低体温症にかかった高齢者とのこと。
低体温証っていうのはお年寄りだと自覚症状が出にくく、気がついた時には手遅れっていうケースが多いとの事。まあ、これは熱中症にもいえることだと思うけど。
この低体温症を引き起こす原因となる原因の大きなものに、日本の住宅事情が関わっている。
欧米などの一般的な住宅では、人のいない部屋も暖める「全館暖房」が当たり前で、場所によって極端な温度差が出ることはない。
対して日本は、リビングはあったかいけど、廊下やトイレは寒いといったケースが一般的。部屋を仕切って、必要な部屋だけを暖める。これを「部分間欠暖房」といって、この背景で、温かい部屋から寒い廊下へ出た時の温度差で血圧が急激に変動して体調を崩すヒートショックといわれる現象を引き起こす事がある。
これを解決するには、つきつめると日本の住宅の設計から変えていかないといけない。
ちなみに日本の断熱効果の低い住宅で、全館暖房をしようとすると光熱費がかさんでしまう。
なんたら工務店とかが床暖房を標準で入れているんだけど、住んでいる方に聞いたんだけどこれがすこぶる快適とは聞くが、月の電気代が冬はプラス30000円と聞いたことがある。
この数年、高機密・高断熱の住宅が基本となっている。
薪ストーブもその影響を受け、安全性や吸気に関して、それに対応したストーブが販売されるようになった。
例をあげれば、ドイツのスキャンサームとか。
スキャンサームはどえらい厳しいドイツ基準をクリアした薪ストーブで、オーバースペックといえるほどの機能も充実している。
https://www.skantherm.jp/passivehouse
少し話がそれたけど、日本の住宅と、このスキャンサームのあるドイツの住宅とでは大きな違いがある。
それは断熱性。
日本の一般住宅でこのスキャンサームを焚き続ければ温かくなるが、
ドイツの一般住宅で焚き続けると、暑くてタマらないとのこと。
大きく断熱性が影響しているんだけど、
ドイツの一般住宅で焚き続ける必要がないのは、この住宅の断熱性能のおかげで、この性能に似合ったストーブが、スキャンサームのような短時間で暖める機能のあるストーブ。
実際のところ、スキャンサームのストーブの火入れをさせてもらうとよく分かるんだけど、ありえない短時間でストーブ正面の空気が暖まって行くのを感じる。
焚き続ける必要がなく、一旦暖まってしまえば、それ以上暖める必要がなくなるから、このようなストーブになったんだと思う。
これからの日本の住宅も、こうなっていくんじゃないだろうか。
ちなみにドイツの基準がどれだけ厳しいかというと、
労働者保護のため、労働時間中の室温規制値を設けていて、だいたい17~21℃以上と決められているそうです。
で
これは「望ましい」というあいまいな基準ではなく、下回った場合は行政指導が入り、場合によっては雇用主が罰金を取られることもあるそうです。
私の知り合いの勤めていたブラック企業は、電気代の節約の為に経営者が夕方に早退する時間に建物のエアコンを全部こっそり切っていくという事をしていましたが、こういった行為に罰金がかかるということです。
っていうか、この企業の話って、
そもそもあとでどうせ気がついてエアコンを入れるとなると電気代が余計にかかる
っていうことを知らない人なんだろうなあ。
脱線しました。
で
日本にはこれまで住宅の断熱基準が義務付けられていなかったとのことで、ほぼ無断熱の住宅を販売しても許されてきたんだけど、
健康面・省エネや地球温暖化対策で、国土交通省でも制度として断熱基準を定める方向で議論を進め、2020年には義務化をすることが決まっていた
が
2018年12月に行われた国交省の審議会では、一転して義務化が見送られる方針が打ち出された。
理由は義務化に対応できない建設事業者が多くいることや、2020年までに行政の手続きへの対応が間に合わないといったことなどが理由として挙げられたみたいなんですが、上に挙げた、寒い環境で過ごす国民の権利は考慮されてない。
沢山の人の命や健康が失われている現状を考えると、日本でもドイツのような法制化は不可欠といえる。
法整備が行われないことには、暖かい家に誰もが住める社会には近づかないので、寒い家は自分たちの人権に関わる問題だという認識を深めて、凍死なんて起こらないような家に住む必要があるという声をみんなであげていく必要があると思う。
記事内容を自分なりにいじったり追加したりしてみた。